御召って?その4。縫取御召ってなに?

今月のちんがらやは西陣御召の特集中。

明日4/21日(土)〜23日(月)の三日間は
創業290年を超える、西陣御召の老舗問屋、
京都矢代仁さんの全面協力の元で
「京都矢代仁 御召今昔展」を開催します。

江戸時代、細かい縞や格子模様から始まった御召は
ジャガード機がお目見えした明治期以降、
紋御召、風通御召とより緻密な柄を表現できりょうに
進化してきました。

その進化の終着点とも言えるのが本日ご紹介する
「縫取御召(ぬいとりおめし)」です。

冒頭の写真は、矢代仁さんが今回の催事の目玉として
送ってくださった縫取御召の最高峰です。

冒頭の写真だとなんとなく総柄の訪問着かな・・・。
という感じですが、接写をするとこんな感じ。



祇園祭や花見などなど。
江戸時代の京都の様子を写した非常に緻密な柄ゆきです。

「縫取」と聞くと、「刺繍」のようなイメージですが
実はこれ、全て「織」です。

通常の絣などの織柄は、緯糸のみ・経糸のみ・経緯両方の
糸の合わせで柄を織り出すので、
柄を織り出す糸も、生地幅いっぱいに広がります。

縫取の場合は、生地のベースを織り出す地糸と柄を織り出す
糸とに初めから分かれています。
無地場は生地のベースとなる地糸のみ。
ジャガード機で、上げ下げする経糸をコントロールし、
そこに柄を織り出す色糸を設計図通りに織り込んでいく。

柄を織り出す色糸が柄のある部分のみを行き来して
模様を織り出しているのが、縫取御召の特徴です。


裏から見るとこんな感じで、一見刺繍のようですが、
表から見ると、刺繍のように糸の盛り上がりがなく
完全に織り込まれているのがわかります。

反物の幅は決まっているので、
糸が太く、本数が少なくなるほど、柄は大きくなり
糸が細く、本数が多くなるほど、柄は緻密に織り出されます。

当然、使う色糸の種類。
横一列の並びの中に配される色数が多ければ多いほど、
織り上げるための複雑さが増して行きます。
写真の御召は、その極地といっても過言ではない作品ですね。

着用する方からみた、縫取御召の良さは
地の雰囲気もありますが、
縫取られる模様によっては、付下や訪問着として
十分な格を持つということ。

染では表現できない色の深み。
御召独特のしなやかな着心地。
柔らか物に引けを取らない十分な格。

一般的な染物に飽きた方にも
織のきものが好きな方にも
ぜひ、一度触れて頂きたいなと思います。

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