ボタン名古屋帯

「牡丹」ではなく「ボタン」です。
漢字で書くと「釦」と書く、服飾品です。

でも本当は古渡更紗の模様です(笑)
古渡更紗とは、江戸時代に日本に渡ってきた更紗のこと。
異国情緒漂う風情は当時の多くの日本人を魅了しました。
時の権力者もその中にいて、
ひこにゃん(笑)で有名な彦根藩井伊家が熱烈なコレクターだったことから
彦根更紗とも言われています

そんな古渡更紗なインド更紗模様の帯なのですが
当店では見た目が『ボタン』みたい!
ということで、通称ボタンの帯で通っています。


日本の衣服は基本的に「紐で結ぶ」ことで体に固定することが多く
実際にボタンとして日本で使われだしたのは明治時代以降だとも
言われています。

ボタンが発達したのは、ヨーロッパ。
ボタンの歴史は古く、古代のゲルマン人たちの衣服にはすでに
ボタンの原型となる物が見られるそうです。
その後、中世・ルネッサンスを経て、実用品という枠から飛び出し
芸術的なボタンが作られていくことなります。

何が言いたいのかといえば、ボタンは浪漫である!
ということです。
いえ、4代目、収集こそしていないものの子供の頃から
ボタンが好きなんです。
日本でいうと、「帯留め」や「根付」が近いのかな。
緻密な造形美であったり、螺鈿の様に素材を活かしたものであったり。

「宝石」「貴石」という自然由来のものをカットで美しく見せる・・・。
ということも素晴らしい技術だとは思いますが、
「衣服を止める」という機能も持たせながら、
作者の想像力や技巧によって巧みに表現される小さな世界には
なんとも言えない魅力を感じます。

と言うわけでもないのですが、本日ご紹介するのは
「ボタン柄の染名古屋帯」です。

生地は塩瀬ではなく、しなやかに織られた紬。
なんとも結びやすそうな風合いです。

やや緑がかった青の地色の上には
手描きのボタンがとりどりに並びます。

ボタンをテーマに取り上げた事自体も面白いのですが、
染料だけでなく顔料も使って表現されているため、
油絵の様にボタンが浮き出る雰囲気がなんとも好きな1枚です。

定規で測った様なガチッとした描き味でなく
どこか適度に力の抜けたラフな描き味も楽しいところ。

色無地にも小紋にも紬にも。
この帯を合わせるだけで、グッとお洒落に。
お出かけが楽しくなりそうです。

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