今年も扇子の季節です

エアコンや扇風機全勢の時代だからこそ、
人は自然な風に恋するんでしょうか。

先日京都に行ってきたので、今日は一旦浴衣話はお休みして
扇子の話です。

夏に向かうこの季節。
ロフトやちょっとしたショッピングモールに行くと
目につく所に必ず1コーナー作ってある扇子たち。

ただ、風を楽しむだけであれば、電池式やUSB式の
携帯扇風機まである時代。
扇子の魅力ってどこにあるのでしょうか?

4代目が感じる魅力は大きく2つ。
「物の洒落」と「所作の風流」です。


(京扇子「レモン」宮脇売扇庵謹製)

まず、其の物ずばり。
扇子って、おしゃれですよね。
涼感や美を感じさせる扇面の図案は持つ人の美意識や価値観を表します。
古典的な図案、シンプルな物、とても凝った物、最近ならキャラクター物なんかも。
そこには持つ人の個性とセンスがサラリと垣間見え、
意外性があったり、妙に納得したりと
普段の会話だけでは触れられない、その方の内面世界を感じられる気がします。

自分が扇子を選ぶ時も、形(最近は色んな形がありますね)だけでなく
図案はかなり重要です。

次に、所作の風流。
そう書くとなんだか大袈裟な気がしますが、想像してみてください。

ある暑い日の午後。
あなたがお気に入りの喫茶店で一服しながら待っていると、
入り口から待ち人が入ってきます。
店内に入った待ち人は、あなたを見つけ、向かいの席へと腰掛けます。
「お待たせ。今日は暑いね」
そう言って、待ち人は鞄の中から手慣れた様子で扇子を取り出し、
左手で扇子の下側を持つと、右手で上側の骨を持ち
すーっと滑らかに扇子を開いて自らを扇ぎます。

ここまで。
いや描写が下手くそすぎますが・・・・。
この「扇子を開く」という所作。
片手でババッやっちゃうと台無しですが、綺麗な開き方をすれば
なんとも色っぽい「魅せる動作」になるんです。

ここでもう一度同じシーンを想像してください。

「お待たせ。今日は暑いね」
そう言って、待ち人は鞄の中から手慣れた様子で
携帯扇風機を取り出し、慣れた手つきでスイッチを入れ・・・

もう、台無しです。
生活感、出過ぎ!ここは、あんたの家か!
少なくとも人目のある外で、格好悪すぎですよ。

もちろん、涼をとる為だけであれば、携帯扇風機の方がはるかに
合理的かもしれませんが、そこには「美意識」が欠如しています。

いや、時と場合によっては携帯扇風機を否定するわけじゃなく
何事もTPO。
人と会う時には、もう少し格好つけたいじゃないですか。

ただ涼を取りたいというだけじゃなく
その動作さえも、お洒落を取り込んで楽しんでしまう。
そんな貪欲や遊び心、風流心が、
毎年、デパートなどの売り場の一角に扇子コーナーを
作らせる要因なんだと思います。

というわけで、今年も京都の老舗扇子メーカー
「宮脇売扇庵」さん謹製の扇子を仕入れてきました。

本数はそんなに多くありませんが、どれも4代目が真剣に選んできた物ばかり。
ご興味のある方は、ぜひお早めにご覧くださいね。

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