浴衣話その1~浴衣生地ってどんな物?~

6月に入りましたね。
6月は単衣の季節。ここまで来ると浴衣シーズンも目前です。

で、そうなってくるとネット上でも盛んに取り沙汰されるのが
「浴衣と着物の違いとは?」という質問。

「浴衣とは」や「浴衣と着物の違い」などで検索すると
よく出てくるのが
・浴衣の由来
・浴衣と着物の着用方法やTPOの違い
です。

でも、結局、どんな生地は浴衣で、どんな生地は着物生地なのか。
色々読んでもふわっとしかわからない。
少なくとも、ネット記事やきもの用語辞典などの記述だけでは
すごく曖昧に、わかったような気にしかならないのが個人的な感覚です。

それは何故か。
乱暴な言い方すると、定義が曖昧だからです。
厳密に言うと、「どこから見るかで定義が変わる」からだと理解してます。
いや、それを「定義」と言うのはどうなのよ。というご批判はごもっとも。

浴衣について、ちんがらや4代目の私見をダラダラと述べさせて頂きます。
初回の本日は
「浴衣生地って、結局どんな物?」というテーマ。

前説が長くなりました。
浴衣の一般認識として、「木綿」で「単衣仕立」
という線引きができます。
そうなるとヤヤコシやーなのは、木綿着物との違いですよね。

まずはこの写真をご覧ください。

はい、1枚目。片貝木綿の反物です。

では2枚目。専門店的に最も一般的な浴衣生地です。

まず、普段着物の代表格でもある片貝木綿。

1,糸を先の染めて織り上げる「先染め」で
2,特に難しい技術を使わない縦横の「平織り」
で作られています。
生地の風合いは、木綿独特ですが、あえていうなら「紬の着物」に近い雰囲気ですね。

次に一般的な浴衣地(わかりにくいので大きくしてます)

1,白い木綿生地を後から「注染」という技法で染めた「後染め」で
2,生地はやはり「平織り」ですが、着物生地というより「手ぬぐい」に近い風合いです。

上の2枚の写真を比べてもらうと、生地あいの違いも分かってもらえるでしょうか?
そうなんです。
最も一般的な浴衣というのは、
1,手ぬぐいのような風合いの薄手の木綿の白生地に
2,注染や型染めなどの技法で後から柄を染め出した物。
となります。

では、「木綿」に「後染」で模様をつけた着物と浴衣の違いはというと
やはり、生地の風合いです。
(現在、そういった反物が在庫でなくて写真をお見せできないのが残念です)

コーマと呼ばれる上質の晒生地をベースとする浴衣の生地の風合いと
着物用に織られた木綿の白生地では風合い。
端的に言えば、生地の厚みや柔らかさが全く違うのです。
その上、はっきりと違うのが「柄の雰囲気」です。
この「柄の雰囲気」については、長くなるのでまた後日。

ということで本日のまとめ。
浴衣生地は
1,手ぬぐいと似たような触り心地の木綿の生地で
2,「絞り」や「注染」。「型染め」といった技法で後から染められた物
ただし、成り立ちからいうと「麻」を用いた生地は浴衣生地の1種。

このだだしの部分は、また別の機会に解説しますね。
お付き合い、ありがとうございました。

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