浴衣話その3〜透け感の違い〜

前回の浴衣話では、浴衣には
「生地の種類としての浴衣」と「用途としての浴衣」があるとこと。
前々回の浴衣話では
成り立ちから言うと「麻100%」の生地も浴衣生地の1種とお伝えしました。

が、今日はその「麻100%」は浴衣地の1種という話と矛盾するお話をします(笑)

「浴衣として着用するのに向いた生地」を考えるとき、大事になるポイントの1つが
「透け感」です。
もちろん、浴衣なので「涼感」は大切。
ある程度の「透け感」も「涼感」の演出には欠かせません。

ただ、ここで思い出して頂きたいのが「浴衣としての着用方法」。
そう。浴衣って、肌着や浴衣スリップの上に直に着用するんです。
なので、あまりに透け感が強すぎると、肌着まで透けてしまうことになります。

素材ごとの透け感の違いを見てみましょう。
同じ位置から向こう側を透かして撮影した写真です。

まず一般的な浴衣生地であるコーマ。綿100%です。

次に藤井絞さんの雪花絞り。こちらは綿麻の生地。

続いて竺仙さんの型染め小千谷縮み。麻100%。

最後に単衣・夏きものとしてオススメしている近江縮みの綿麻。

比べてみてどうでしょう?
綿・綿麻の素材に比べて・・・。
小千谷縮み(麻100%)、めちゃくちゃ透けてますよね。
ここ数年、昼着として浴衣を着る着方が定着してきていますが、
日差しの強い所では、かなりスケスケになりそうです。
実際、浴衣の向こうに足の形が見える程度には助ける場合があるんです。

江戸時代に現在の形の浴衣が生まれた時には
お風呂上がり。つまり夕刻以降に着用した浴衣。
暗い中では「スケスケ」も問題にはなりませんでした。
が、昼間からの着用に抵抗がなくなった現代では
気にしないわけには行きません。

では、昼間から着たかったらどうするか。
そう。長襦袢を着用して、夏きものとして着用するんです。
でも、夜になればスケスケは気にならないので、浴衣として素肌の上に
着用しても大丈夫。

これが「浴衣として作られたけど、夏きものとしても着用できるパターン」です。

もう1パターン。
近江縮みの綿麻素材。これ、そこまで透けてませんよね?
「先染め」で作られているので、「後染め」であるという
今回の浴衣生地の定義には当てはまりませんが、
綿麻の生地が素肌にサラッと気持ちがいいのは事実。
キッチリ感が出過ぎないカジュアルな雰囲気は
浴衣の雰囲気に近い物があります。
というわけで、こちらは
「単衣・夏きものとして生まれているけど、浴衣としての着用もできるパターン」です。

ではここで本日のまとめ。
<大まとめ>
「浴衣として生まれたけど夏きものとして着用できるパターン」と
「夏きものとして生まれたけど、浴衣として着用できるパターン」がある。

<小まとめ>
1,もともと夜に着用された浴衣だけど、現在は昼間に着用する場合も多い。
2,1の変化に伴って、透け感を考えた着こなしが大切。
3,キッチリ感が出過ぎないカジュアルな綿・綿麻・麻きものは浴衣としても着やすい。
4,逆に「ザ・浴衣」な雰囲気の浴衣は、夏きものとしての着用をオススメしません。

最後の4については、また後日。
どんどんマニアックになっている気もしますが・・・。
浴衣について、皆さんの中で整理が進めば幸いです。

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