浴衣話その5〜浴衣の模様・幾何学編〜

いよいよ佳境の浴衣話。

まずは恒例、前回のまとめから。

ザ・浴衣の雰囲気は
「遊び心のある柄」「大胆な図案」「涼を感じる色柄」。
逆に、夏きものに向く物は
「きっちり感のある柄」「大胆というよりは繊細」です。

でした。
今回取り上げるのは「幾何学模様」です。
ここでいう幾何学模様は、
「朝顔や秋草などハッキリとモチーフが定まっていない」
「線や円で構成された柄」のこととします。

1,定番の縞(しま)や格子

(近江ちぢみの綿麻)

縞や格子は柄が大きくなるほどカジュアルに。
小さくなるほどフォーマル感の強い柄になるという特徴があります。

参考までに「万筋(まんすじ)」と呼ばれる江戸小紋の写真がこちら。

(わかりにくいので、大きくしてます。細かな縞が見えますか?)

一見、無地に見えるほどの細かな縞と
先ほどの大胆な縞柄では雰囲気が全く違うのが伝わりますよね。

2,コーマ臈纈染め(ろうけつぞめ)菱模様

こちらは、臈纈(ろうけつ)といって、のりの代わりにロウを使って防染し、
染色をしてある浴衣。
ちょっと違いますが、若松菱(わかまつびし)の様な模様を染めだしています。
こちらも、柄がもっと小さくなれば、御召や江戸小紋にもありそうな雰囲気ですが
これだけ大きいと、カジュアルな印象になります。

3,雪花絞り

高級浴衣としても、夏きものとしても人気の雪花絞り。
板締めの一種なので、幾何学的な文様が生まれます。
こうした幾何学模様も、大胆になるほど浴衣らしく
細くなるほど、きものらしい雰囲気となってきます。

以上、ざっと幾何学模様を見てきました。

幾何学模様自体は、浴衣であろうが、着物であろうが
どちらでも使われる模様です。
ただし、柄が細くなるほど着物らしい雰囲気に。
逆に、大胆になるほど浴衣らしい雰囲気になってきます。

また、大きさもパターンも同程度の幾何学模様であれば
素材の差がそのまま、雰囲気の差として現れます。
麻・綿・綿麻などの素材は浴衣向き。
絹が混じる物は着物向きと思ってください。

あえて素材の差による浴衣度をつけるなら
浴衣:綿
中間(柄の雰囲気による):麻・綿麻
夏きもの:絹が入った物(ポリも絹の代替品という性質上、ここ)

こうして考えると、雪花絞りの人気の理由が見えてきますね。
もちろん、配色やデザインが優れているのはもちろんですが、
着方1つで、「浴衣」としても「夏きもの」としても着用できる
応用力の高さ。
それが、雪花絞りの魅力なのです。

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