着物との出会いは人との出会い

先日、お邪魔させて頂いた倉敷での懐紙のイベント。
今日は、それを主催された岸本先生がお召しになっていたお着物についての話です。

ご存知の通り京友禅は図案の作成から出来上がりまで20以上の工程を経て
製作される日本を代表する染物の1つ。
全てが分業化されている京都では、実に20以上の工房や職人の手を経て作られる
ある意味、手業の極みとも言える美術・工芸品でもあります。

そんな本京友禅の強みの1つは
「作り手の顔が見える」こと。
どこのどんな職人さんが、どんな仕事をした結果、この素晴らしい1枚が出来上がるのか。
その気になれば、それを追いかけることができるのです。

そんな体験をしていただきたくて、昨年末、問屋さんのご紹介で
京都のつつ井染工さんに岸本先生と先生の着付けの生徒さんをご案内しました。

このつつ井さん。
わかりやすくいうと京友禅のプロデュース(図案の作成と製作指揮)をされる工房。
図案を生み、それぞれの仕事を任せる職人さんを選んで、
型を起こし、染色をし、1枚の京友禅を作り出すのがお仕事です。

その時には、板場の仕事場(型染め友禅の現場)と、
染め上がった染料の定着を行う蒸しの工場を見学させて頂きました。

板場の職人さんは、色の指定を受けて、熟練の経験を元に染料を作ります。

そして、図案を元に作られた型と、出来上がった染料を使って
型染めを行う職人さん。

動画はお見せできませんが、見事な手際で、型染め作業が続きます。
例えは悪いですが、対面式で料理を出してくださる板前さんの動きのように
無駄のない、綺麗な動作で、寸分の狂いなく白生地が染色されていく
(正確には染料を含んんだ糊が定着していく)様子は感動です。

糊を置かれた反物は「蒸し」という工程で染料を定着し、
友禅流しのように流水で余分な染料を洗い流して

乾燥し、ヨレなどを整理して出来上がりです。

この全ての工程が、機械や道具を使うとしても
職人さんの手で行われます。

なかなか「蒸し」や友禅流しの工程を見せていただく機会はなく、
ご一緒させていただいた私も感動する仕事でした。

その後、つつ井さんの工房に戻って、これまで染め上げた作品の
図案やスクラップブック、現品を見せて頂きながら
色々なお話を伺いました。

その時に、出会って頂いたのが、この小紋。
無地感覚の小紋が多い中で、珍しい大胆な柄付けの一品。

柄付けは気に入って頂いたのですが、こんな系統の地色は着たことがない
と、悩んでいらっしゃったところ。

お客様のうちのお一人がパーソナルカラー診断をされる方だったのですが
その方が、岸本先生にぴったりのお色!と太鼓判を押してくださり
「チャレンジ」ということで、お誂え頂くことになりました。

大切に着たいからと、ご自身が主催されたイベントで初めて袖を通していただいた着姿。

拝見するまでドキドキしましたが、もう本当に素敵で。
まさに誂えたみたい(実際、誂えて頂いたのですが)に良くお似合いで。
ホッとしたやら、嬉しいやら!

沢山の職人さんの手を通じて生まれた一枚と岸本先生の出会いが
先日の先生主催の素敵なイベントにつながって
沢山の参加者の方の笑顔につながる。

そんな良い出会いの連鎖。
お届けできて、心から幸せです。

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