星を飲み干す

とある禅宗の高僧が新年のご挨拶にこられたお客様に
「さぁ、星を飲み干しなさい」
と、振舞われるのが日本酒。
相撲の横綱昇進で使われる様な大きな酒杯にお酒を満たして
茶筅でサラサラっと泡立てたものだそうです。

無数の泡を星に見立てて、それを飲み干す。
宇宙を飲み干す。
それほどの器の大きさを持てということなのでしょうか。
禅問答に通じるトンチの様な一コマですね。

この話、僕が所属する裏千家淡交会津山青年部の勉強会の一環で
地元の安国寺さんというお寺のご住職に伺ったお話。
ご住職が若き日に高僧について修行されていた時のエピソードだそうです。

この日の勉強会のテーマはお茶席の掛物として喜ばれる「禅語」。

安国寺さんにお邪魔すると、ご住職が水まんじゅうとお抹茶をご用意して
くださっていました。
青年部の仲間と早速、お茶を点てあって一服。
見てください。この綺麗な水まんじゅう!

甘さも丁度よく、仲間と和気あいあいと頂くお抹茶とお菓子は
何よりの美味しさですね。

ホッと一息ついたところで、ご住職が手ずからご用意くださった
資料を基に、禅語の話を伺いました。

例えば、この日のお軸。

「竹有上下節」
「たけにじょうげのふしあり」
と読み下します。
字面だけ読むと、竹には上下に節がありますよ。
という至極当たり前の言葉。
新緑の季節には青々とした竹が織りなす爽やかな情景が浮かびます。

が、ご存知の通りこの句には対になる言葉があるんです。
それが
「松無古今色(まつにここんのいろなし)」
です。
「松は常に青々として違いがない」という意味だそう。
「実際には松の葉だって生え変わるんだけどね」
というさすが禅問答のある禅宗のご住職です(笑)

この2句をつなげると
常に変わらない松は「平等」を。
上下の区別のある竹は「違い」を。
単なる自然の風景ではなく、人の世の常を表す言葉と解釈できるのだそう。
これが、禅語なのですって。

では、これの言葉を軸として床に掛けるとき、
そのお茶席の席主の方は、どんな思いで掛けられるのでしょう?

ただ言葉をそのまま捉えるだけでなく、
その禅語に込められた真意をも踏まえたお軸。
いつかは、自分が席主となってそんなお席を持ちたいものです。

ちなみに、深く考えすぎるとドツボのハマるので、頭を柔らかくして
柔軟に捉えるのが、禅語や禅問答のコツなんだそうです。

1時間半ものお話を聞いた後は、地元では有名なお庭を拝見することに。
後ろの山を借景にした見事なお庭。

「心」という字をモチーフとした池には、綺麗な蓮の花が咲いていました。

こんなお庭を愛でながら、一服のお茶を喫する。
そんなお茶席に憧れながら、仲間との素敵な勉強会となりました。

その後は、和食屋さんでの昼食懇親会!

これに茶碗蒸しがついて、食後のコーヒー付き1200円って、お得感満載です。

淡交会の地元青年部活動を通じてできた仲間は
年代も様々ですが、なんか、一緒にいい時間を過ごせています。
お稽古場だけではできない経験。
苦楽を共にする仲間。

皆さんも是非、いい仲間と出会ってくださいね。
あっ、茶道もおすすめですよ!

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


関連記事一覧

最新記事