御召って?その3。風通御召

今月のちんがらやは「西陣御召」の特集中。
4/21日(土)〜23日(月)の3日間は「御召今昔展」を開催します。

明治期にジャガード機が導入されたのち、縞・格子が主流だった御召に
紋御召という複雑な柄物が登場しました。
(紋御召については、「御召って?その2」をご覧ください)

その後、更に精密な柄を求めて生まれたのが「風通御召」です。

風通とかいて「ふうつう」と読みます。
この風通御召、紋御召より更に特殊な組織(織方)です。
というのも、二重組織と入って、裏表で色が反転した全く同じ柄が
織り出される技法です。


↑こちらは紋御召。生地の裏表で表情が全然違います。


↑こちらは風通御召。分かりにくいかもしれませんが、
裏と表で色違いの全く同じ柄が見えているのがわかりますか?

細かい技法を言葉で説明するのは難しいのですが、
「風通御召とは?」で検索するとヒットする
「銀座もとじ」さんの記事が比較的わかりやすいので、
技術的なことが気になる方はそちらをご覧くださいね。

この風通御召の良いところは、
前段階の紋御召に比べ、より精密な柄を織り出せるというところ。
この風通の技法によって、「絣」では難しい江戸小紋柄や疋田柄を
織物で表現することができました。


↑何通りもの江戸小紋柄を織り出した風通御召。
13.5m程度の生地の長さの中で同じパターンが
2度出てこないという驚きの柄。

このことから、風通御召は、御召の中でも特に応用範囲(着用範囲)を
広く考えられ、帯合わせ次第で、お出かけ着からお茶着、セミフォーマルまで。
着物でのお出かけシーンのほとんどをカバーできてしまうなんて
本当に頼もしいですよね!

また風合いに関しても
「紬ほど固すぎず、染物ほどテロンとしない」
という御召の中にあって、「軽さ」と「しなやかさ」を感じるのが
特徴の風通御召。

お茶人さんには特におすすめしたい逸品です。

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